2023年を迎え、これまでの業務に対する姿勢を振り返り、今後の姿勢を考えてみた。昨年は、登記（不動産の名義変更登記や会社設立登記）に関する依頼のほか、「相続発生後の遺産分割・遺産承継」「遺言・民事信託の対応」「債権回収への対応」「離婚に伴う財産分与」などそもそもどのような対応を取るべきなのかといった相談を受ける場面も多かった。登記に関する依頼については、お客様があらかじめ方向感を持っておられるため、司法書士としては大きな問題点がないのか検証した上で、後は淡々と登記手続を進めていけばよいのだが、そもそもから考える相談については、自分なりのしっかりとした行動規範を持っていないと解決には向かわないと改めて感じた1年でもあった。

このホームページの「事務所概要・行動規範⇒こちらをどうぞ」に書かせていただいているように、私は三つの行動規範をもって業務にあたっているつもりであるが、改めて深堀が必要だと感じている。三つの行動規範とは、①お客様が何を実現されたいのかを丁寧に理解する、②お客様に常に複数の選択肢を提供する、③お客様のために丁寧かつ迅速な対応を行う、という内容である。それぞれ「相談を受ける段階」「解決案の提示の段階」そして「具体的な対応の段階⇒解決」である。

相談を受ける段階では、お客様は初めからすべてを正確に話してくれるわけではなく、むしろ頭の中ではいろいろな思いが錯綜しているのが通常である。また解決案を提示する段階でも、お客様は法律専門家ではないため、こちらが当然のこととして説明しているつもりでもお客様にはよく理解できないのが多くの場合だと思う。いずれの段階でも自分本位・専門家本位の考え方であってはいけないということである。さらに具体的な対応の段階では、大半の部分が当方にお任せということになる。多くの相談案件では、相手があるわけであって、相手の事情や思いもよくよく考えておかなければならない。「丁寧かつ迅速」とは書いているが、その意味するところは、一言でいえば「適切なタイミング」とういうことであり、三つの行動規範の中では、最も難易度が高くかつ勇気が必要とされる場面である。ある書物を読んでいたら、かつてプロゴルファーの岡本綾子さんが「ＡＯＡ」ということを口にされていた記憶があると書かれていた。ＡＯＡとは、“あせらない、恐れない、諦めない”ということらしい。私が思っている「適切なタイミング」を実現するには、まさにこのＡＯＡの考え方をベースにおかなければならないと感じている。「自分本位・専門家本位の考え方からの脱却」そして「ＡＯＡの考え方」、これが行動規範を深堀した、私なりの今後の業務に対する姿勢である。そんなことを思いながらいよいよ明日から2023年の業務がスタートする。

【2023年1月３日】