何やら会社の貸借対照表みたいなものが登場しました。私が会社定年を迎えるにあたって頭に浮かんだことです。その時のことを思い出しながら書き出してみました。私は会社定年後司法書士事務所を開設し、いわばシニア起業のようなことを始めました。起業という二文字には重い責任が伴います。家族の幸せの実現は最も重いものです。一方自己実現しようとしたとき最も直接的なものは起業です。そのバランスを如何にとるのか。頭に浮かんできたのは、会社の貸借対照表（＝バランスシート）のようなものだったわけです。

１．まず考えたこと

表に掲げた要素は【資本】「お金（今までの貯え）」を除いてすべて変数です。この変数はできる限り絞っておくことが必要です。あれもこれもは、不安定要素を増大させるだけです。私の場合には、表の左側【仕事】の項目を思い切って絞りました。他にも細かく要素を挙げることはできますが、ここには軸となるもののみを掲げました。これが起業し仕事を継続していく上での指針にもなるのです。言い換えれば、何のために仕事をしているのだろう、ということです。仕事をしていると様々な甘い言葉、誘惑が待ち受けています。また、仕事がうまくいかず不安に襲われることもあるかもしれません。こんな時、軸がぶれないためにも必要なことなのです。

２．次に考えたこと（定年前の準備）

定年後あるいは起業後に、意欲・体力・時間といった資本を効果的に使えるようにあらかじめ準備をしておくことです。意欲・体力・時間は、「心の豊かさを実現するもの」にできる限り使いたいからです。私が、表の右側【生活】【仕事】で定年前にやったことは、①生活の借金をできる限り減らす（ゼロにしておくのがベストです）、②スキル・知識の習得をしておくこと、③大きな借金までして事業をしない計画を立てることでした。スキル・知識については、現役時代とかけ離れた起業をするとこの要素に意欲・体力・時間を大きく投入することになるため、できる限り現役時代に蓄積した知識・スキル・人脈を活かせる起業をするとよいかと思います。私の場合は、銀行や債権回収の仕事をしていましたので、司法書士という職業は関連性が強かったと言えます。
※シニアになると若かりし頃と比べ、【資本】意欲・体力・時間が大きく変化してくることに注意が必要です。冷静かつ客観的に見つめ直しましょう。

３．バランスをとっていくもの

表の右側【生活】の老後資金をどう考えるかです。要素を小さくしようとするあまり、質素に質素を重ねていくのかといえば、一方でこれは表の左側「心の豊かさを実現するもの」の要素を小さくしてしまいます。自分のためだけではなく、家族全体の豊かさも必要です。この部分は、人それぞれですのでバランスをとって考えましょう。

４．予期せぬことへの心づもり

要素に中で最も変動が大きい変数は、自分自身の病気、親・子への援助ではないでしょうか。ここには、【資本】の各要素が投入されていきます。そうすると「心の豊かさを実現するもの」は縮小を余儀なくされます。この中で何を優先するかの考え方にもよりますが、私の場合は、冒頭に書いた表の左側【仕事】の要素は簡素化しました。仕事について、あれもこれも実現しようとするのではなく、軸となるもののみに絞っておくということです。頭の中をいろいろな考えがぐるぐると回りましたが、結局起業するにあたって最も重視することは、これだ(最低限の貯えと社会貢献）という考えに至った次第です。

如何でしたでしょうか。人それぞれに置かれた環境や思いは十人十色ですが、私の場合を紹介してみました。起業する場合、皆さんも貸借対照表（＝バランスシート）を考えてみては・・・

【2021年9月25日】