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新着情報・お知らせ(令和4年4月2日付)で掲載したとおり、4月1日付で民事信託士の登録が承認された。“民事信託士の登録”とは、高齢者・障がい者支援目的はじめとする適正な信託の利用を促進するため、一般社団法人民事信託推進センターが研修・検定を行い、一定水準の知識レベルにあると認めた弁護士や司法書士に承認しているものである。
そもそも“信託”という制度は、①特定の者(受託者)が、②財産を有する者(委託者)から移転された財産(信託財産)につき、③信託契約、遺言または公正証書等による自己信託により(信託行為)、④一定の目的(信託目的)に従い、⑤財産の管理または処分およびその他の当該目的の達成のために必要な行為をすること(信託法第2条第1項)と定義されている。例えばある財産、賃貸して毎月賃料収入を得ているアパートを考えてみよう。このアパートに関しては、大きく所有権と賃料を受け取る収益権に分けて考えることができる。通常は、所有権者が収益権も有するが、信託という制度を利用することにより、この二つの権利を分離して利用することが可能になる。上の信託の定義に従えば、所有権は受託者に移転させ、収益権は委託者や受益者が享受することができる。高齢者Aが有する賃貸アパートについて、今後認知症などで判断能力が失われ単独で法律行為を行うことができなくなる場面が想定される。現在は、Aがその妻であるBや知的障がいを持つ子供Cを扶養しているが、Aが認知症になりそして亡くなっていく。Bも高齢でいずれ亡くなっていく。BやBが亡くなった後のCの生活費の工面をどうするのか。このような場合に、親族D(例えば健常者であるCの兄弟)を受託者として、所有権を移転させておくことで、Aが認知症になった場合何らかの法律行為(アパート修繕のための新たな借入行為など)を行うことが可能になる。一方収益権である賃料収入は、AやB、Cを受益者として順次収益を享受させていくことができる。信託という仕組みは、応用範囲が広く他にも会社の事業承継の場面においても、株式という財産について、所有権(例えば議決権)と収益権(例えば配当収入)を分離させて活用することができる。
民事信託という言葉は、法律用語ではなく場合によっては、“家族信託”と呼ばれることもある(特に受託者が親族等である場合に家族信託と言われているようであるが、一般社団法人家族信託普及協会が商標登録している造語であり、これも法律用語ではない)。受託者である親族等は営利を目的としているわけでなく、特定の人から1回だけ信託を受託するものであるという意味において“民事信託”と呼ばれている。このような信託の目的は、当然のことながら営利を目的として受託者となる信託会社や信託銀行も担うことができるが、受託会社は国の免許あるいは登録が必要になり信託業法という規制にも従うことになる。こちらの方は、“商事信託”と呼ばれている。
高齢者等の財産管理や財産承継の相談においては、遺言や法定後見、任意後見といった内容が多いが、最近では民事信託も有効な方法として注目されている。これらの制度をどのように活用するのか、ケースバイケースで考えなければならない。決して民事信託が万能な制度というわけではないということに留意しておく必要がある。民事信託は、財産管理の一方法に過ぎないのだから、身上監護の場面では全く機能しない(法定後見などもそうである)。
先に示した事例におけるように、受益者をAからBそしてCのように順次長期にわたり決定しておくことができるは、民事信託の大きなメリットであるが、一方で様々なケースを想定して制度設計しておかないと後日トラブルの原因になるという高度な知識やノウハウも要求される。遺言では、死亡時点における法律関係を、法定後見や任意後見では後見が必要になる時点での法律関係を整理しておけばよいが、民事信託においては将来にわたる各時点での法律関係をしっかりかつ丁寧に整理しなければならないのである。喩えは的確でないかもしれないが、感覚的には、一次元、二次元、三次元の世界ではなく、これらの世界に加え“時間軸”の考え方を組み込み、三次元の対象を連続移動させる軌跡を設計していく四次元の世界だと言えるのではないだろうか。複雑な世界に入り込むことになるため、私としては、信託財産をできる限り絞った上で民事信託を設計し、遺言や後見制度などの他制度を組み合わせることでトータルとして高齢者・障がい者支援目的を達成していくことを基本的な考え方としていきたいと考えている。
【2022年4月2日】
✔悩みを何とか解決しようと焦るのは当然のことです。しかし直面する課題を自分なりに考え、相談内容をしっかりと整理できている方は少数派ではないかと思います。むしろ多くの場合、何をどう考えたらよいのかがわからない状態ではないでしょうか。
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