昨年12月11日（土）に横浜いずみ学園に出向いて、講師の一人として法律教室に参加した。横浜いずみ学園は、昭和63年9月に「情緒障がい児短期治療施設」として開設され、現在（１）人権の擁護と個性の尊重（２）健全な人格形成と社会的自立の支援（３）地域社会との連携の3つの柱を理念として運営されている（ホームページより）。そして職員（児童精神科医、セラピスト、生活指導員等）の方々は、子供たちが自分の力で育って、生きる力をつけられるよう援助し、安心して生活し成長していけるよう日々尽力されている。このたび、少しでもこうした子供たちや職員の方々の手助けになるようにとの想いで臨んだ。

今回の法律教室は、「子供たち参加型」ということをコンセプトにし、社会に出て直面するであろう「SNS」「キャッチセールス」「インターネットクリック詐欺」を取り上げ、その解決方法としての「クーリングオフ」「困った際の相談の仕方」まで踏み込んだ内容であった。開始前に職員の方々にお聞きすると、「子供たちは果たして積極的に参加するのか、多少心配です」ということであったが、蓋を開けてみれば積極的に手が挙がり、相談シミュレーションでは相談者役を立派にやってくれた。また、「SNS」では、講義画面をしっかり見つめ大変関心をもって聴いていた印象であった。

　SNSについては、過去に使っていたもののこの施設では禁止されているので、現在では子供たちは使ってはいない。それだけにいざ社会に出るとなると、使い方をよく頭に入れておく必要がある。危ないからと言って取り上げるのではなく、正しい使い方を身につけることで日常生活に深みが生まれると思う。自動車事故が起こって危ないから、自動車には乗らないのかといったら、そのような対応はとらないのと同じことではなかろうか。

キャッチセールスについては、私自身が若い20代の頃被害に合い、誰にも相談できなかった際の実体験も披露させていただいた。自分の失敗は恥ずかしく、プライドが邪魔をして相談できないという心理状態に陥ってしまうのだ。自分だけがこんな被害にあって、何てバカなんだろうと思ってしまうのだが、周りにもこんな失敗をする人はたくさんいる、相談するのが一番だということを分かってほしかったからである。

今回強く伝えたかったのは、いわゆる「困った際に相談する力」だ。先に書いた陥りやすい心理状態のことはもちろんであるが、（１）時系列に整理して、（２）プライドに邪魔されることなく嘘は言わず正確に伝える、ということを子供たちにわかってほしかった。この点は、子供だからできないわけではなく、一般の大人の人もなかなかできないことである。仕事柄相談を受けることが多いが、話があちこちに飛んだり、時間の流れもばらばらで、さらに感情も入り自分勝手な解釈になっていることもあり、解決の選択肢を考えるのに苦労することはたびたびある。

全体で1時間半程度の法律教室ではあったが、ズシリと印象に残ったことがある。法律教室が終わった後に職員の方々が話されたことである。「この子供たちは、社会に出ると孤立しやすいのです。相談するということしっかり教えておきたいですね」今回の法律教室は少しでもお役に立てであろうか・・・と思いながら帰途についた。

【2022年1月8日】