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相続放棄と熟慮期間(1)
~相続放棄の本質~【相続】

1.相続放棄の本質を知ろう

父親あるいは夫(被相続人と言います)が亡くなった。遺産承継を考える場合、まず相続人は誰か、相続財産は何かを特定することからスタートする。相続人の特定は、戸籍を辿っていけばどんな複雑なケースであっても真実は一つである。厄介なのは相続財産の調査である。被相続人が事業を行っていた場合には、借金や保証債務があることを前提に調査を進めていくことになるが、取引先や税理士など利害関係者は多くいることから情報収集はある程度可能だ。最もわからないケースは、例えば被相続人がサラリーマンでしたという場合である。借金については、被相続人自身が債務者であるので、預金取引の明細や返済の案内などにより判明していく。問題は、保証債務である。友人や知り合いの借金の連帯保証をしていたことなど通常ではわからない。相続放棄や限定放棄を検討する、いわゆる“熟慮期間3ヵ月”を過ぎてから、友人や知り合いが借金を返せず、結果として連帯保証人である被相続人に返済の督促がくることになる。相続財産に全く手を付けておらず、返済の督促が突然来たといったケースでは、その時点で熟慮期間の延長し相続放棄すれば保証債務から逃れられる可能性は残っている。ただこれも法律の規定ではなく、様々な事情を総合的に勘案しての家庭裁判所の判断(=審判)になる。もっと言えば、家庭裁判所の判断も、債権者が争ってきたら覆るかもしれない。家庭裁判所の相続放棄の申述受理は、後見的立場から行う公証的性質を有する準裁判行為に過ぎず、相続放棄が有効であることを確定するものではないことを理解しておかなければならない。見方を変えれば、この相続放棄は、債権者がどのような考えでどのような行動をとってくるかにかかっているのだ(相続放棄の本質はこれだ!)

2.まずは慎重な相続財産調査~熟慮期間の期間延長も視野に~

相続財産に全く手をつけていないケースで書かせていただいたが、普通であれば保証債務の存在が分からず、遺産分割をして相続財産を処分するなど何らか手をつける。そうなると次の問題である“法定単純承認=相続放棄はできない”という論点にぶち当たる。保存行為に該当するのであればオッケーだが、一部でも処分をすると単純承認をしたとみなされて、相続放棄ができなくなってしまうのだ。民法第921条第1項にその条文がある。先ほど書いたように被相続人がサラリーマンの場合、保証債務の存在などわからないのが普通であるから、この法定単純承認となる行為にはよほど気をつけておかねばならない。どんな可能性があるかは完璧にはわからない(知るのは亡くなった本人のみ)のだから、相続財産調査を慎重にやるしかない。生前の様子など少しでも気になることを相続人間で頭を巡らせることも必要だ。その意味では熟慮期間3か月を有効に活用し、出来る限りの調査をするべきである。思いあたる節がなければよいが、少しでも疑いが出てくれば、場合によっては家庭裁判所に“熟慮期間の期間伸長の申立て”を行うことを考えた方がよい。

3.熟慮期間中の法定単純承認~保存行為の危うさ~

この調査期間中に法定単純承認に該当する行為を行うと、この調査も無駄になってしまう。そこで何が“保存行為”に該当するのかはしっかりと認識しておきたい。クレジットカードの未決済や少額のローンがある場合、相続人が相続財産ではなく、自らの固有財産で弁済するのは、相続財産を減少させるわけではなく、この保存行為に該当する。この行為はまずは大丈夫であろう。支払期日が到来していて延滞利息が増える状況にある債務を、相続人の固有財産でなく相続財産で弁済するのはどうだろうか。先に相続放棄の問題の本質は、債権者がどう考えどう行動してくるかにかかっていると書いたが、この問題もまさにこの原点に戻って考えるべきだと思う。ネットでの記事を見ていると、誰のお金で返済するのか明確にしないまま、支払期日到来の債務の弁済は保存行為に該当すると書かれているものもあるが、私は危ういと思っている。このようなケースについて正面から明確に判断した判決はないようであるし、あったとしてもそれはその事例での判断で、債権者との関係や債権者の考えは実に様々である。当然争いになってもおかしくはないのだ。

また、こんな事例はどうであろうか。被相続人が住宅ローンを借りていたが、団体生命信用保険が付保されており、金融機関が保険金の受取人となりローンが返済され、抵当権の抹消書類を受け取ったとしよう。まだ熟慮期間中であるため、遺産分割協議も行われていない。抵当権を抹消する登記は所有権の名義を一度相続人全員に変更して、抵当権者である金融機関と相続人のうち一人(あるいは相続人全員)との共同申請によることになる。相続登記を経由した場合、法定単純承認とみなされるのであろうか。かつては、相続登記を経ることなく、相続人の一人と金融機関との共同申請で抵当権を抹消できていたのだが、現在はそれが認められない取扱いに変更された。相続登記とはいえ、保存行為であると解釈できなくはないだろうが、これもやはり債権者(抵当権を抹消する金融機関とは別の債権者)との関係に行きつく。ひょっとして争いになるかもしれない。そう考えると、抵当権抹消登記も安易に申請できない。

このように債務が絡んだ相続については、こうすれば大丈夫という完璧なマニュアルはない。一つ一つの事例を丁寧に吟味し、リスクを最小限に抑える判断をしていかなければならない。専門家としては、身の引き締まる思いである。

【2022年1月22日】

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