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相続が発生した場合の相続人の方からの相談において、遺言書を拝見するケースがあるが、“遺言執行者”って何なの?という質問を多く受ける。司法書士など専門家が遺言執行者として指定されている場合は、専門家にお任せといったことになるため、このような質問は投げかけられないが、受遺者が遺言執行者として指定されている場合には、何をすればよいのか不安になるようである。特に公正証書遺言においては、このような記載は必ずといってよいほどある。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有し、遺言執行者がある場合には、その履行は遺言執行者のみが行う(民法第1012条)とされており、非常に重要な職務である。遺言執行者に就任すると直ちに執行業務を開始しなければならないが、その際に大きく二つの義務が課せられている。①遅滞なく遺言の内容を相続人に通知すること(民法第1007条第2項)、②遅滞なく相続財産目録を作成して、相続人に交付すること(民法第1011条第1項)である。この点については、民法が改正され、①が条文に加わった(改正前は当たり前のことだと考えられていたであろう)。施行日である平成元年7月1日以後に作成された遺言やそれより前に作成されたものであっても施行日以降に遺言執行者として受諾就任した場合には改正後の民法が適用されることになっている。これらの義務はいわば法的義務とされ、義務を果たしてなければ不法行為となり、遺言執行者の解任や損害賠償責任の問題にまで発展する。特に受遺者が遺言執行者に指定され、専門家でもない場合にはこの点は要注意である。
それでは、次の例はどうであろうか。民法改正前の場面が適用される場合である。特に“相続させる遺言”(※1.)の場合、民法改正前においては相続した不動産の対抗要件(※2.)として登記は必要なかったため、遺言執行が放置されているケースがよくある。この遺言の場合、遺言執行を行うまでもなく、遺言者の死亡時に当然に権利移転が生じるため、遺言執行者が指定されていようとその就任を受諾する必要はないため、遺言執行者について改正後の民法が適用される場面はないということになる(施行日後にあえて遺言執行者として受諾就任すれば改正後民法が適用される)。
そして、遺言執行者に指定された相続人である受遺者は、不動産の所有権移転登記も遺言執行者の立場ではなく、相続人の立場で単独で登記申請することになる。
※1.例えば、「甲不動産は相続人Aに相続させる」といった文言である。民法改正後では“特定財産承継遺言”という言葉が使われている。
※2.第三者からの権利主張に対して、自らの権利を確保できる力。
上記の例の場合、遺言執行者としての法的義務も課せられない。・・・法律的にはこのような結論になるが、“世の中の常識”に照らして果たしてそれでよいだろうか。受遺者以外の相続人は、遺言者がどうしたかったのか、どんな財産を持っていたかについては関心が強いのでないだろうか。やはり遺言に内容の伝達や相続財産の開示については、どこまで詳細に伝えるべきかはさておき、何らかの方法によって伝えるのが法的義務ではないが常識とは言える。不法行為の責任問題にはならないにせよ、それよりももっと大きな代償である相続人間の“人間関係の崩壊”につながるものである。
民法改正によって、上記の特定財産承継遺言によって不動産の権利移転がその内容になっている場合であっても、自己の法定相続分を超える持分については、登記が対抗要件とされた。そのため、遺言執行者として所有権移転登記申請を行うことが重要な責務となったが、これとて、遺言執行者ではなく相続人である受遺者は単独で登記申請ができることから、やはり上記に記載した常識としての行動が要請される場面が生じることは同じである。先ほど、民法改正前の場面ということで述べたが、結局遺言執行者として就任する必要のない場面も引続きありうるため、民法改正後においても同様、常識の問題となる。
私自身、法律は何か事が起こった時に有効な働きをするものと考えており、普段の行動にあたって法律通りにしかやらなくてよいと考えることは危険である。皆が常識とは何かを常に考え行動していくことが、実際に法律適用して紛争を解決しなければならない事態を回避する唯一の方法だと思う。
【2022年5月21日】
✔シニア世代に入り、遺言作成ということが頭をよぎるが・・・。公正証書遺言、自筆証書遺言、遺言書の保管制度などなど、専門的用語が多く頭の整理をしておかねば。
✔親が亡くなり、遺言書が見つかったが、何をどうしたらよいのか。
✔遺言書もなく、親が残した財産をどう分割したらよいのか。相続人の中には、疎遠になっている方もいるのだが・・・
✔親が借金を残して亡くなったが、どのように対応すればよいのだろうか。相続放棄をしなければならないのだろうか。
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