〒224-0032 神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎中央12番5号 飯塚ビル201号
センター南駅(地下鉄ブルーライン、グリーンライン)徒歩4分
受付時間
10月15日の朝刊に「嫡出推定見直し民法改正閣議決定」という記事が載っていた。嫡出推定規定とは、民法第772条に規定されており、第1項で妻が婚姻中に懐胎した子は夫の子と推定し、第2項で婚姻成立の日から200日経過後又は婚姻解消(離婚)の日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定するとの内容である。今回の見直しは、この規定を維持しつつ、例外として出産時点で妻が再婚していれば離婚後300日以内であっても前夫の子として推定するのではなく、再婚後の夫の子として推定するというものである。また、再婚していない場合でも妻と子に嫡出否認の訴えを可能にすることも盛り込まれているようだ。そもそもこの規定は、明治31年の民法施行時から設けられていたものであり、基本理念は「親子関係の早期確定」である。前夫の子とすることを嫌がり無戸籍の子が生じていることが問題視され、この基本理念の実現のために、現行規定を維持しつつも例外を設けるというものである。遅きに失したわずかながらの対応といえよう(再婚していない場合、実際に前夫に対して訴えが起こせるのだろうか)。
民法規定の一つ「限定承認」も同様に従来から存在しており、全く改正されていない規定である。「相続財産の清算」という合理的な制度(と私は思っている)でありながら、年間約700件程度しか利用されていない。手続きが面倒だとかそもそも限定承認を選択する場面が少ないといった理由があるのかもしれないが、弁護士や司法書士など専門家が、この選択肢を採ろうとしないといったことも聞こえてくる。前述した嫡出推定規定のように民法規定が古すぎ、今の実態に合っていないのであろうか(=基本理念の実現のために民法改正して例外規定なるものを設ける必要があるのだろうか)。少ない経験ながらも限定承認の案件に携わった私としては、現行規定は今の時代にも通用するものであり、もっと活用したらよいのではないかというのが正直な印象である。限定承認の民法規定は第4章第2節第2款にまとまった16条の条文がある。基本理念は、「債権者保護」ということである。確かに家庭裁判所が関与する場面としては、申立ての場面(熟慮期間を延長する場合にはその申述の場面も、である)と相続人の先買権行使にあたっての鑑定人選定の場面くらいであるため、どうしたらよいのかというケースに遭遇しても、自らの判断で手続を進めていくことになり不安にはなる。しかし、基本理念である「債権者保護」の観点を常に頭に入れておけば、十分に対応は可能ではないかと思う。
限定承認を選択し手続を進めていく際の状況は実に様々なケースが存在する。まず、どのようなケースに限定承認を選択するとよいのだろうか。典型的には次の3つかと思う。①長期間被相続人との交流がなく、積極財産は判明しているが、消極財産が出てくる可能性がある場合(特に被相続人が保証債務を負っている場合には後で何が出てくるのかわからない)、②消極財産が多いものの、自宅や土地は絶対に手放したくない場合、③相続放棄により後順位相続人(特に兄弟姉妹、その中に認知症や障がいによって判断能力が失われている者がいる場合にはなお更であろう)に迷惑をかけたくない場合が考えられる。さらに相続財産の状況も様々である。債権者保護との観点からは、積極財産と消極財産の多寡が、(a)積極財産>消極財産、(b)積極財産≒消極財産、(c)積極財産<消極財産のいずれなのかで対応も異なってくる。特に所有不動産を売却しないと債務が返済できないといったケースは、民法の規定上では「競売」によると規定されているが、これはあくまで債権者保護のための方法であるので、①のケースでは、債権者の了解を得て「任意売却」の選択も可能ではなかろうか。また、任意売却に進むケースであっても積極財産と消極財産の差が小さい場合には、「鑑定人の評価(=客観的な基準)」といったステップも必要になるかもしれない。さらに対債権者に対するリスクを極小化するとすれば、鑑定評価以上で売却先を確定しておいた上で先買権の行使をすることも考えないといけないのかもしれない。
以上のように、限定承認を選択する場面や相続財産の状況によって多くのケース分けが生じるため、すべてを想定して民法やその他の法律で手続きを規定していくわけにはいかないだろう。嫡出推定規定見直しのように基本理念の実現のために例外規定を設けざるを得ないわけではなく、限定承認の基本理念である「債権者保護」の観点から、各ケースに応じた対応を柔軟に進めていくことで、相続人にとっても利益実感の高い結果が得られるように思う。
【2022年10月16日】
✔シニア世代に入り、遺言作成ということが頭をよぎるが・・・。公正証書遺言、自筆証書遺言、遺言書の保管制度などなど、専門的用語が多く頭の整理をしておかねば。
✔親が亡くなり、遺言書が見つかったが、何をどうしたらよいのか。
✔遺言書もなく、親が残した財産をどう分割したらよいのか。相続人の中には、疎遠になっている方もいるのだが・・・
✔親が借金を残して亡くなったが、どのように対応すればよいのだろうか。相続放棄をしなければならないのだろうか。
相続にまつわる課題は突然で、かつ様々な内容です。スムーズな財産の承継、これが皆さん共通の願いではないでしょうか。相続に関すること、何でもご相談してください。丁寧にご説明、ご対応いたします。
当事務所の相談ブースです。落ち着いて相談できるよう広めのスペースを確保してます。
※電話に出られない場合がありますが、”メッセージボックス”にメッセージをお願いします。折り返しご連絡いたします。
受付時間 | 10:00~17:00(予約あれば時間外対応可) |
---|
定休日 | 土・日・祝日(予約あれば対応可) |
---|
お電話でのお問合せ・相談予約
<受付時間>
10:00~17:00
(予約あれば時間外対応可)
定休日:土・日・祝日
(予約あれば対応可)
フォームは24時間受付中です。お気軽にご連絡ください。ZOOMでのご相談も可能ですので、ご希望の方はお問合せフォームからお知らせください。
当事務所の相談ブースです。落ち着いて相談できるよう広めのスペースを確保しています。
〒224-0032
神奈川県横浜市
都筑区茅ケ崎中央12番5号
飯塚ビル201号
センター南駅(地下鉄ブルーライン、グリーンライン)徒歩4分
10:00~17:00
(予約あれば時間外対応可)
土・日・祝日(予約あれば対応可)