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公正証書の効用と限界【相談全般】

相談を受ける案件で、公正証書の作成が絡んでくる場合がよくある。私文書か公正証書を作成した方がよいのかといった話である。よくあるケースは「遺言書」であるが、その他にも「死因贈与契約書」、親族間の金銭の貸し借りの場面での「金銭消費貸借契約書」「債務承認弁済契約書」、離婚に際しての「離婚給付等契約書」などである。民事信託(家族信託)の相談の中で「信託契約書」をどうするかというケースもある。この場合には信託専用口座を金融機関に開設する必要があることから私文書ではなく必ず公正証書という選択ということになる(金融機関は公正証書での契約書作成を要求する)。将来の紛争防止の観点からなのであろう。

公正証書とは、私人からの嘱託により、公務員である公証人がその権限に基づいて作成する公文書(日本公証人連合会HPより引用)のことだ。効用としては、まず第一は、文書の成立について真正であることの強い推定が働き、反証のない限り完全な証拠力を有することである。後々紛争になった場合、例えば訴訟上有利に物事が進められる。先述した民事信託(家族信託)は、契約期間が多くの場合長期に及ぶことや将来の様々な状況変化により紛争が生じやすいため、まさにこの公正証書の存在感が増す。また、公正証書には、本人でなければ作成できないものもあり(本人からの委任状を持った代理人では不可ということ)、この場合「本人の意思確認」が公証人によって強く担保されるというメリットがある。遺言書や死因贈与契約書、任意後見契約書がこれに該当する。死因贈与契約書の場合、贈与者は必ず本人が出向くことが必要である(受贈者については代理人で可能である)。一方で、公正証書作成にあたっては、①公証人の手数料が必要になる、②遺言書の場合、高齢などの理由で公証役場に本人が出向けない場合には公証人が出張してくれるが、その際費用負担が発生する、③さらに遺言書の場合、証人2名を用意できなければ、証人に係る費用も発生するなど、コスト面も考えておかねばならない。
※遺言公正証書だと本人が亡くなった後、家庭裁判所における「検認」という証拠保全の手続が不要になるが、令和27月から自筆遺言書であっても法務局で保管することにより検認の手続が不要となる「自筆証書遺言書保管制度」が新設されたので、この制度利用も選択肢の一つとなった。

効用の第二としては、“金銭の支払い”を目的とする債務については、①一定額の金銭の支払い合意と、②債務者が金銭の支払いをしないときは、直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されている場合には、裁判手続きを経ることなく強制執行することができる、ということがあげられる。金銭消費貸借契約書、債務承認弁済契約書の場合や離婚給付等契約書において養育費支払の条項がある場合にその効果が大きい。本人でなくても代理人による作成も可能であるので、スケジュール調整や公証役場に出向く手間を考えると利用しやすい。
※金銭消費貸借契約書、債務承認弁済契約書の場合、債務者と債権者について同一の代理人を立てることはできないが、債務者と連帯保証人については、同一の代理人であってもよい。

ただ代理人が可能といっても、離婚給付等契約書の場合将来の紛争防止の観点からは、離婚前に夫婦二人で出向くべきであろう。「離婚前」というのがポイントで、「後」になればお互いが協力しようというインセンティブが極端に低下することになるからである。
これらのケースのおける公正証書の限界として考えられるのが、強制執行機能は金銭の支払いの場面に限られるため、例えば離婚給付等契約書において不動産の所有権移転が合意されていたとしても単独で移転登記申請ができず、双方の協力のもと登記申請をしなければならない。住宅ローンがまだ残っており、将来完済した後に所有権移転するという内容が定められている場合、条件付所有権移転登記という仮登記で権利保全することもできるが、この場合でも双方からの登記申請となる。ただし公正証書に条件付所有権移転の仮登記をする旨まで定められている場合には、公正証書を承諾書(印鑑証明書の添付は不要である)として取扱い、単独で登記申請することはできるが、めでたく住宅ローンが完済され、さて本登記申請だという場面では、やはり双方からの登記申請がどうしても必要になってしまう。もう一つの限界は、親族間での金銭消費貸借契約、債務承認弁済契約の場面である。公正証書作成という手続はどうしても大袈裟感が出てしまうので、親族間の場合にはどうかと考えてしまう。将来にわたり親族間の関係を良好に維持していくという観点からは、公正証書作成はよくよく考えなければならない悩ましい問題である。

以上のように公正証書は確かに効用もあるが、一方で限界もある。事案を進めるにあたり、相談者の方によくよく説明し、どうするのがよいのか一緒に考えていくことが必要である。

【2023年2月18日】

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