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相続放棄と熟慮期間(2)
~法定単純承認事由~【相続】

以前ブログ「相続放棄と熟慮期間(1)」の中で、熟慮期間中の法定単純承認~保存行為の危うさ~という内容を書いた(→こちらをご覧下さい)。相談に来られる方も一般的な知識から相続放棄をするのだったら“何も手を付けてはいけないのですね”ということをよく言われる。確かに何か行動を起こして、それが民法第921条の各号に該当すると相続放棄自体できなくなる(法定単純承認事由である)。司法書士など法律専門家のセミナーなどでも“相続財産には一切手を触れるな”と強いトーンでしゃべられる方もいらっしゃる。しかし、「相続財産」とか「手を触れる」ということが何を意味しているのか曖昧なために、冒頭に書いたように体が固まって何もできなくなっているのではないかと思う。逆に言えば、(1)「相続財産でないものには手を付けてよい、債務の弁済も相続財産からではなく相続人固有の財産から行うのであれば対処してもよい」ということである。さらに(2)「相続人は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産を管理しなければならない(民法第918条)」し、たとえ相続放棄をしたとしてもその管理責任から逃れられるものではなく、「相続人になる者や相続財産の清算人に財産を引き渡すまで管理責任は継続する(民法第940条)」ことを忘れてはいけないのである。管理のためには行動を起こさなければならない場合があるということだ。以下、相談でよくある一瞬戸惑う事例をいくつか挙げてみる。

1.まず相続財産に該当するのかとの観点である。
<被相続人死亡直前の未支給の厚生年金があるが請求していいの?>
相続人(範囲と順位は法定されている)が、自らの権利として請求するものであり、相続財産ではないので請求してよい。ちなみに企業年金も規約を確認し、受取人が指定されていれば同様の取扱いとなる。

<被相続人の入院中の費用請求があったが支払ってよいか?>
病院には大変お世話になったので、支払っておきたいとの気持ちとなるが、あくまで被相続人の債務であるため、相続財産から支払ってしまうと法定単純承認事由に該当する。支払うのであれば、相続人の固有財産から支払うことである。他の借金についても同様の取扱いになるが、上記のような気持になることはないと思われる(少額だから支払っておきたいとは考えるかもしれないが・・・)ので、相続放棄する場合には返済はする必要はない。

<被相続人の高額医療費の還付金は請求してよいか?>
請求する権利は、世帯主又は健康保険の被保険者が有しているため、被相続人がこれに該当すれば相続財産となり、請求して還付金を受け取ると法定単純承認事由に該当する。世帯主又は被保険者が被相続人以外であれば相続財産には当たらないので請求してよい。

<被相続人が受け取る予定であった入院給付金は請求してよいか>
相続財産になるので受け取ると法定単純承認事由に該当する。ただし約款で未支給段階での死亡時における受取人について規定がある場合もあり、その場合には請求は可能である(約款の確認が必要である)。
※生命保険や共済において、死亡保険金の受取と入院給付金の支給が混在しているケースがあるが、この場合に死亡保険金は相続人固有財産だからということで一括して請求してしまうと入院給付金が支払われ(共済の場合には加入者出資金の返戻もある)、法定単純承認事由に該当してしまうことになる。ちなみに私の地元の神奈川県民共済では、相続放棄するのかどうかを確認して上で、相続放棄する場合には相続放棄受理通知書を添付して請求する手続になっており上記の事態を回避している(すごく分かり易く丁寧な対応である)。

<被相続人が、自らを被保険者にするとともに配偶者も被保険者にしている場合、契約を解除して解約返戻金を受け取ってよいか?~がん保険などでよくあるケース~>
保険契約者の地位は相続財産であるため、解約すること、解約返戻金を受け取ることは相続財産の処分に該当し、法定単純承認事由となる。

2.次に管理責任を全うするとの観点である。
<ペットを飼っておりペット保険に加入しているが、被相続人の死亡以降預金が凍結され保険料の引落が行われていないが支払ってよいか?>
ペット保険は保険の種類としては、損害保険であり、ペットに何かあった際にはその費用が補填される。ペットも相続財産であり、管理責任を果たすためには、ペット保険を継続させておかなければならない。一方で損害保険の契約者の地位は相続財産であるため、解約することは相続財産の処分に該当してしまう。したがって保存行為として相続人の誰かに名義変更をし(解約返戻金が出ないようにする)、その相続人の固有財産によって保険料を支払うことになる。

<被相続人所有の自宅に火災保険が掛けられているが、預金が凍結され保険料の引落が行われていないが、どう対処したらよいか?>
上記と同様の対応となる。

以上、よくある一瞬戸惑う事例を紹介させていただいたが、そもそも相続放棄という行為を否定する可能性があるのは債権者であり、法定単純承認事由も債権者利益保護のために規定されていることを常に念頭に置き、個別に丁寧に検討することが必要である。迷ったら是非司法書士など法律専門家に相談していただきたい。

【2023年6月15日】

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