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以前ブログ「遺言作成とお盆休み」というテーマで、自分の財産を自分の死後にどうしたいのかを生前に決めておくことのお勧め理由を書かせていただいた(→こちら)。今回のブログでは、では具体的にどうしたらよいか、何から始めればよいのか、留意すべき点は何かについてお伝えしたいと思う。
(1)まずは、自分の財産を一覧にしてみる。すべての財産について、決めてもよいし、一部の財産(例えば不動産だけ、会社経営をされている方なら所有株式だけ)でもよい。要するに個々の財産の行方を決めておくのである。決めておかなければ、相続開始後に相続人間で遺産分割協議が必要になり、相続人間の感情によっては争いに発展してしまう。あるいは、相続人の中に判断能力の衰えた方や所在が不明になっている方がいれば、余計に時間を要してしまう。
(2)次に、出来る限り「遺言執行者」を決めておくことである。というのも相続開始後遺言内容にしたがって手続を進めていくことになるが、相続人が多数であったり、人間関係がうまくいっていないケースなど手続に支障をきたすことがままあるからである。遺言執行者は、民法第1012条、1013条に規定されている通り「①相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する。②遺贈の履行は遺言執行者のみが行うことができる。③相続人は遺言の執行を妨げるべき行為をすることはできない」ことから、自ら主導して手続を進めることが極めて容易になる(遺言執行者の義務としては、相続財産目録の作成や相続人への通知などである)。ここで留意しておかなければならないのは、遺言執行者には、例えば金融機関や弁護士・司法書士などの専門家も指名することはできるが、遺言書を預り相続開始後に遺言執行するという一連の事務を担うことからかなり高額の報酬がかかる場合が多いことである。民法第1016条に遺言執行者の復任権が定められていることもあり、ある程度任せられる相続人や受贈者を遺言執行者としておいて、遺言執行の際に弁護士や司法書士などの専門家に事務を委任する方が費用が軽減できる。
(3)そしていよいよ遺言書をどの方法で書いておくかの選択である。私は、遺言者の年齢、健康状態によりお勧めの方法を提示させていただいている。
①最もお薦めの方法は、自筆証書遺言を法務局で保管してもらう「自筆証書遺言書保管制度」である。メリットは、安価で手軽ということに加え、自筆証書遺言の場合に必要とされる相続開始後の家庭裁判所における検認手続が不要であることだ。ただし、実際に法務局に本人が行かなければならず、健康状態が悪く(例えば足腰が悪く)付添いがあっても法務局には行けないなどの事情があればこの方法はとれない。また遺言書の内容が複雑で、高齢のため遺言書本文を自筆できないような場合(財産明細については、パソコンで作成して署名・押印のみ行うことが可能である)もダメである。経験上、高齢になるほど自筆できる行数の限界は少なくなるのが一般的な傾向である。
②これに対して、公正証書遺言の方法を取れば、家庭裁判所での検認手続が不要なことはもちろんのこと、理解能力さえあればある程度複雑で行数もかさむ遺言書も作成できる。公証人が遺言者の口述を筆記する方法を取るからである。また健康状態が悪い場合でも、出張もしてくれる。難点は、証人を二名用意する手間と公証役場での費用がかかることである。ただ見知らぬ公証人の前では、緊張して頭が真っ白になってしまう方もいる。
③そうなると、ごく単純な内容の遺言書(例えば、“すべての財産をAにゆずる”)を自筆で書き、自ら保管しておく方法を取らざるを得ない(この場合でも民法第968条に定める“自筆証書遺言”の規定に従わなければならない)。遺言書作成のお勧め理由にも書いた通り、この方法でもやらないよりやった方がよいというのが私の考えだ。
(4)上記のプロセスに先だって、遺言作成にあたって最も留意しなければならないことは、遺言能力があることだ。遺言能力については、民法第961条に規定されている通り、15歳に達した者にはあるとされており、成人した場合の能力までは要求されていない。ただし、遺言能力がありと判断しても、遺言作成を支援するにあたっては、①どの程度の内容であれば理解した上で遺言書に書き起こせるか、②どの程度の法律用語が使用できるのかをよくよく考えなければならない。特に②について、極力専門家でなくても理解できる用語を工夫する必要がある。例えば、「持分」→「持っている分」「相続させる、遺贈する」→「ゆずる」などである(「ゆずると表記した場合、登記原因としては、“遺贈”になるが、相続人への遺贈の場合は単独で申請できるなど登記原因が“相続”となる場合と大差はない)。
こうしてみると留意すべき点は、多数かつ多面的にわたる。遺言作成にあたっては、司法書士など専門家に是非ご相談いただきたい。
【2025年4月18日】
✔シニア世代に入り、遺言作成ということが頭をよぎるが・・・。公正証書遺言、自筆証書遺言、遺言書の保管制度などなど、専門的用語が多く頭の整理をしておかねば。
✔親が亡くなり、遺言書が見つかったが、何をどうしたらよいのか。
✔遺言書もなく、親が残した財産をどう分割したらよいのか。相続人の中には、疎遠になっている方もいるのだが・・・
✔親が借金を残して亡くなったが、どのように対応すればよいのだろうか。相続放棄をしなければならないのだろうか。
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